今回は「PPAP」が仮に商標登録された場合、ピコ太郎ご本人による「PPAP」の歌唱行為が商標権侵害になるか否かについてご説明します。ここでポイントになるのは、「PPAP」が何の商品又は役務(サービスのことです)を指定して商標登録されたかです。すなわち、商標とは商品やサービスの出所を表すものであり、商標権は「ネーミング(ロゴ)」と「指定商品・指定役務」がセットになっています。
例えば、「菓子」を指定して「PPAP」が商標登録された場合、商標権者以外の第三者は「PPAP」というネーミングの「菓子」を無断で販売できませんが、「PPAP」というネーミングの「ボールペン」を販売しても商標権の侵害とはなりません。「菓子」と「ボールペン」は非類似であるためです。
本題に戻ります。ピコ太郎が歌う「PPAP」はあくまで曲名であって、商品や役務には該当しません。すなわち、「PPAP」という曲名や同曲の歌唱は商標的使用ではないため、第三者が何らかの商品・役務を指定して「PPAP」の商標権を取得したとしても商標権の侵害は成立しません(ここで問題になり得るのは著作権です)。
あるネーミングが商標登録されたからといって、何に対してでもそのネーミングの使用が禁止されるわけではありません。しかしながら、何かの商品を販売し、また、何らかのサービスを行うに際しては、無用なトラブルを防止するためにも必ず商標権の取得をご検討されてください。