VOL.1 特許1号

VOL.1 特許1号

2018年02月8日 【

知財コラムの初回は特許第1号を通じて特許についてご紹介します。特許という言葉は聞き慣れていても、具体的な書類についてはご覧になったことがないという方がほとんどだと思います。

下記の画像は日本の記念すべき特許第1号を開示した文書です。

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特許第1号は錆び止め用の塗料及びその塗布方法に関する発明でした。発明者は彫刻家として有名であった堀田瑞松という偉人です。特許を取得した日付は1885年(明治18年)の8月14日です。130年以上も前の出来事です。

この発明は、鉄製の船舶(船底)が海水によって浸食され、それまでの技術では短期間のサイクルで塗料を塗りなおす必要があったという課題を解決するために生み出されたものです。

堀田氏が発明した錆止塗料は生漆(きうるし)が主成分であり、これに鉄粉などを加えたものでした。文書には、4種類の塗料に関する成分の配合表が開示されております。

現代の特許公報とは表示形式が大きく異なっていますが、発明を実施するために必要な説明文の記載、発明の理解を容易にするための図面(※注)など、開示内容は現代とほとんど変わりません。

特許第1号である発明の正式名称は「堀田錆止塗料及ビ其塗法」であり、発明者自身の苗字が含まれています。現代の特許法では発明の名称に人名を含めることが認められておりません。

また、この発明の審査期間は約1ヶ月でしたが、現在の審査期間は通常、出願審査請求という手続をとってから約1年です。これでも数年前に比べれば格段に早くなりました。ちなみに、例えば出願人が中小企業の場合は「早期審査制度」の適用が受けられ、これにより審査期間が約2ヶ月まで短縮されます。

今回ご紹介した特許第1号からは、物や方法を発明するうえで現代と変わらない知的な創作活動を垣間見ることができます。すなわち、発明は従来技術の課題の抽出からはじまり、その課題を解決するための研究・開発を経て生まれます。現代においては、新規性・進歩性などの要件を満たした発明に対して特許が付与されます。

特許に携わる弁理士は、特許公報に開示される明細書や図面等を日々作成しています。

(※注)特許法上、図面の提出は必須ではありません。

 

以上

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