今回は意外な登録商標をご紹介します。
登録商標は特許庁の審査を通過して権利(商標権)が発生した商標を指します。商標権が発生すると、商標権者は、指定した特定の商品や役務(サービス)に対して登録になった商標を独占排他的に使用できるようになります。
以下は商標権が発生している商標(登録商標)の一覧です。
登録商標 権利者 普通名称
1.テトラポッド 株式会社不動テトラ 消波ブロック
2.QRコード 株式会社デンソーウェーブ マトリクス型二次元コード
3.宅急便 ヤマトホールディングス株式会社 宅配便
4.セロテープ ニチバン株式会社 セロハンテープ
5.弾丸ツアー 株式会社JTB 日帰り旅行
6.ウォークマン ソニー株式会社 ポータブルオーディオプレイヤー
7.ハンディカム ソニー株式会社 デジタルビデオカメラ
8.プリクラ 株式会社セガゲームス プリントシール機
9.UFOキャッチャー 株式会社セガゲームス クレーンゲーム機
10.マジックテープ 株式会社クラレ 面ファスナー
例えば、ソニー株式会社とは全く関係のないA社が、自社製造したポータブルオーディオプレイヤーの商品に対し「ウォークマン」の名称を付して販売すると、形式的に商標権侵害を構成します。
では、自然人のBさんがSNSにソニー製のウォークマンを購入したという内容を掲載したとき、商標権侵害になるでしょうか?答えは「ノー」です。つまり、Bさんがウォークマンを商標的に使用しないと、商標権侵害になりません。
商標的使用を簡単に説明すると、その商品・役務を、どこが販売・提供しているかを示すものとして機能するように使用することを言います。
上記の例でいうと、Bさんはソニー製のウォークマンを買ったことを単にSNS上で報告しているのみで、Bさんが製造したウォークマンを誰かに販売したわけではないので、商標的使用には該当しません。
では、SNS上ではどんな行為を行ってもよいかというと、必ずしもそうではありません。例えば、Bさんがアフィリエイト(インターネットを利用した広告宣伝)を利用して、A社(≠ソニー株式会社)が販売する「ウォークマン」の広告を行うと、Bさんも商標権侵害を問われる可能性がでてきます。
特に近年ではEC(電子商取引)が主流になっております。例えば、EC事業者がHP上で「商品はC社(≠ヤマトホールディングス株式会社)による宅急便でお届けします」と表示するのはNGになります。
なお、上記「普通名称」に対応する箇所に記載した表現であれば、何人も使用できます。
商売を行ううえでHP上に何らかの固有名詞を掲載する場合は、他人の商標権にお気を付けください。