2019年5月1日より新元号「令和」がスタートしました。
この「令和」について、商標登録できるか否かについて話題になっております。
「令和」は商標登録できない、といった情報が多く散見されますが、これは必ずしも正確ではありません。
今回は「令和」の商標登録についてご説明します。
商標法では、商標登録が認められない商標について規定した条文が第3条と第4条に設けられています。そのうち第3条第1項第6号には、「3条1項1号~5号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」と規定されています。
今回の元号変更に伴い、「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」の一例として、「元号」が新たに明確化されました。
ここでポイントとなるのは「令和」、「reiwa」、「れいわ」、「レイワ」といった商標のみならず、「令和+識別力のない文字」が商標登録できない、ということです。
「令和+識別力のない文字」の例としては、指定商品「りんご」に対し、「令和りんご」が挙げられます(「りんご」が識別力のない文字に該当します)。
言い換えると、「令和+識別力のある文字」は、類似する他人の先願商標がなければ商標登録される可能性があります。
報道によれば、某酒造メーカーが「日本酒」を指定商品として「令和蔵」を商標登録出願したとの事です。「蔵」が「日本酒」に対して識別力のある文字として認められ、且つ類似する他人の先願商標がなければ、「令和蔵」は商標登録が認められるかもしれません。
「令和を含む商標は一律に商標登録が認められないわけではない」、との認識は非常に重要です。例えば、「わが社の商品は「令和」を含んでいるから、他人の商標権侵害を構成することはない。商標登録出願する必要もない。」という認識のまま事業展開すると、他人が保有する商標権を知らない間に侵害してしまう可能性があります。
元号変更に伴い、「令和」を含む商標が多数出願されることが予想されます。
「令和」を含む商標は、一律に登録が認められないわけではありません。
皆様も「令和」を含む商標をご検討されてはいかがでしょうか。