今回は知的財産の概要について、某王手メーカーの事例に即して改めて説明したいと思います。
まずは下記の画像をご参照ください。
上記画像は、花王株式会社が販売する食器用洗剤に関連した知的財産権の一例です。特許については、例えば従来製品に比べて油分などの汚れをより確実に除去でき、また、手肌の荒れを抑制する効果が得られるような洗浄剤を開発したときに、新規性や進歩性等といった要件をクリアできれば特許の対象になります。一つの製品について多数の特許が取得されているケースは珍しくありません。特に王手メーカーの場合は、同一分野で年間に1000件単位の特許出願を行うケースも有り得ます。
商標は、簡単に言うと特定の商品・役務に対する名称を指します。商標は「文字+図柄」、「図柄」のみのケースも有り得ます。上記の例では、商標権者は、洗剤等の商品に対して「キュキュット」という名称を独占排他的に使用できる権利を有しています。
意匠は、物品の美的外観を保護するもので、上記の例では、洗剤を収容する容器の形状について意匠権による保護が図られています。意匠に係る物品は「包装用容器」となっておりますが、洗剤を収容する容器にのみ権利が及ぶわけではありません。すなわち、第三者が何らかのモノを収容する包装用容器として、上記画像に示される形状のものを製造・販売した場合は、意匠権侵害が成立し得ます。
このように、多くの企業は、他社製品との差別化を図るために、様々な角度から複数の知的財産権を取得しております。特許や意匠等の知的財産権を取得していない場合、第三者による商品の模倣を許容し、価格競争に巻き込まれてしまうおそれがあります。
ライバルとの競争を勝ち抜くためにも、知的財産権を是非ご活用ください。