新型コロナウイルスによる活動自粛を余儀なくされている中、YouTube等の動画配信サイトで配信される動画を自宅で楽しむ機会が増えたと思います。
今回は動画配信と深く関連する著作権について説明します。
著作権は著作物に対して付与されますが、著作物は「思想又は勘定を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものという。」と条文で定義されています。著作物としては、例えば、音楽、美術、建築、写真、プログラム、地図等々、多種多様なものがあります。
著作権は、財産的な利益を保護する著作財産権と、人格的な利益を保護する著作者人格権に大別されます。著作財産権は、複製権、上演権、演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、二次的著作物の利用権で構成されます。
著作権者にこのような権利が付与されているにもかかわらず、動画配信サイト上は著作権侵害で溢れかえっていることがよく分かります。
例えば、お亡くなりになった有名芸能人(喜劇王と呼ばれた方)の過去のテレビ作品が大量に無断アップロードされており、問題化しているニュースが流れました。権限のない第三者が、お笑い番組をアップロードする行為は、少なくとも複製権、上演権、演奏権、公衆送信権を侵害している可能性がきわめて高いです。法人著作や著作権の譲渡がないと仮定した場合、コント(演劇の部分)は演者が著作権を有し、演劇の台本は作家が著作権を有し、使用される音楽は作曲家、作詞家、歌手が著作権を有し、コントの撮影動画はカメラマンが著作権を有する、といったように、様々なカテゴリで著作権が発生します。一般的には、テレビ番組に関する著作権自体は、放送局やプロダクション等が一括して管理するケースが多いと思います。
テレビ番組の動画を無断でアップロードする行為は、それが非営利目的であったとしても、著作権侵害に該当します。その一方で、違法に配信されている映像や音楽を見たり聞いたりするだけの行為は、録音や録画を伴わないため違法ではなく、刑罰の対象とはなっておりません(今後法律が変わるかもしれません)。
ご注意頂きたいのは、その動画が違法にアップロードされたものであることを知っておきながらダウンロードする行為は、著作権侵害が成立します。映画館で注意喚起されるお馴染みの内容ですが、動画の種類は映画に限られません。
不法行為者に利益を与えないためにも、違法動画は閲覧しない、正当な権原を有する者から配信された動画のみを閲覧するようにしてください。