今回はニュースでも取り上げられた秘密特許について説明します。
秘密特許とは文字通り、秘密の状態にある特許といった意味ですが、現行法では制定されておりません。
秘密特許を理解して頂くための前提知識として、通常の特許について説明します。
特許出願に係る発明は通常、特許出願の日から18ヶ月が経過した後、特許情報プラットフォームというデータベース上で公開されます。18ヶ月が経過する前に特許が付与されるケースもありますが、かかる場合は特許になった後、遅滞なく公開されます。
出願公開の意義はいつくかありますが、代表的なものとしては、技術内容を公開して産業の発達を促進させること、重複研究・開発を防止することが挙げられます。
特許は独占排他的な権利ですが、公開の代償という側面があります。
他方で出願公開制度には一つの欠点があります。それは、例えば国家の安全性及び優位性を含む重要な技術が特許出願されても、強制公開されてしまうことです。強制公開はインターネット上でなされるので、重要な技術が海外に流出してしまい、国益を損ねてしまうおそれがあります。実は日本では、第2次世界大戦中まで秘密特許制度が導入されていた過去があり、軍事技術を中心に運用され、1,500件以上の秘密特許が登録されました。秘密特許制度は敗戦を機に、昭和23年に削除されたといわれています。
長い年月が経過した今、重要な技術の海外流出を阻止して国益を守るといった観点から、秘密特許制度の復活が議論されているようです。
先進主要国であるアメリカ、中国、ドイツ、ロシア、カナダ、韓国、オーストラリア、イギリス、フランス、中国、シンガポール等々、多数の国が秘密特許制度を採用している事実に鑑みても、秘密特許制度の復活は妥当ではないかと思います。