コナミデジタルエンタテインメント社がウマ娘のゲームを制作するCygames社を特許権侵害で提訴したというニュースが一躍話題となりました。
ウマ娘のどの部分が特許侵害しているのか、当事者から正式なアナウンスがないため深堀りを避け、今回は特許侵害訴訟に至るまでの一般的な流れについて簡単にご説明します。
前提として、特許権者は権原なき第三者による特許侵害に対して、損害賠償請求、差止め請求を行うことができます。
損害賠償請求は、特許侵害によって受けた損害を金銭で賠償してもらうための措置です。
差止め請求は、特許権者が侵害者に対して特許発明を実施させないための措置です。
何れも裁判所に対して手続します。
一般論ですが、特許権者が特許侵害行為を見つけたとき、第三者(行為者)に対していきなり訴訟を起こすことはしないです。
まず、特許権者は弁理士弁護士の協力を得て、第三者の行為が自己の特許権を侵害しているといえるかを検討します。
そして、侵害している可能性が一定以上あるであろうとの心証を得た場合、弁理士弁護士を代理人として、第三者に警告書を送達します。
警告書には、
「弊社は○○号の特許を保有している」
「あなたの行為は自社特許を侵害していると判断している」
「○○日以内に回答せよ」
「誠実に対応しなかった場合は訴訟も辞さない」
といった内容が盛り込まれます。
本件においても、訴訟提起前にコナミ社とCygames社が協議を重ね、その結果、合意に至らず訴訟に発展したようです。
協議が決裂する典型例としては、特許請求の範囲に記載の文言の解釈を巡って、当事者間の見解が分かれてこじれるケースが挙げられます(本件がどうかは定かではありません)。
訴訟に発展すると、お互い莫大な費用が発生するので、出来るだけ協議により解決を図りたいのが本音ですが、本件はコナミ社(特許権者)側にとってどうしても納得のいく話し合いができなかったものと推測されます。
仮の話ですが、訴訟の結果、コナミ社が勝訴した場合、ウマ娘はCygames社がコナミ社にライセンス料を支払うことでサービスが継続さるか、ゲーム仕様が変更されるか、の何れかになると予想します。
個人的には和解による解決の可能性が最も高いと思います。